📌 この記事が30秒でわかる!3行まとめ
- 楽天モバイルが地下鉄に弱いと言われる背景には、後発キャリアという事情と周波数の特性がある
- 2026年は帯域幅を4倍に広げる「つながりやすさ強化宣言」で大きな転換点を迎えている
- 首都圏は2026年夏、地方都市は2027年ごろまでに整備が進む見通し
「楽天モバイルは地下鉄で繋がりにくい」——そんな声を、SNSや知人との会話で見かけたことはありませんか。
実はこの評価には、単に基地局が少ないという話だけでなく、もう少し複雑な技術的・歴史的な背景があります。
そして2026年現在、その状況は大きな転換点を迎えつつあります。
今回は、なぜそう言われてきたのか、そして今どこまで改善が進んでいるのかを、暮らし目線で整理してみたいと思います。

なぜ「楽天モバイルは地下鉄に弱い」と言われてきたのか

後発キャリアとしての歴史的なハンデ
楽天モバイルは、ドコモ・au・ソフトバンクに続く4番目の通信事業者として、2020年に本格参入しました。
地下鉄や地下街のアンテナ設備は、JMCIA(移動通信基盤整備協会)という団体を通じて、鉄道会社と各通信事業者が共同で整備しています。
先行する3社が長年かけて築いてきた共同インフラに、後から相乗りする形で参入するには、交渉や工事の調整に時間がかかるという構造的な事情があったのです。
主力だった1.7GHz帯という周波数の特性
楽天モバイルが主に使ってきたのは「1.7GHz帯」と呼ばれる高い周波数の電波です。
高い周波数は通信量を多く運べる一方で、壁やコンクリートのような障害物に弱く、減衰しやすいという性質があります。
これに対し、既存3社が長く保有してきた「プラチナバンド」と呼ばれる低い周波数は、障害物の向こうまで回り込みやすく、地下や建物の奥でも電波が届きやすいという違いがありました。
パートナー回線(auローミング)終了という移行期の事情
自社の基地局が整うまでの間、楽天モバイルはKDDI(au)の回線を借りる「ローミング」で電波の届かない場所を補ってきました。
このローミングは2026年9月末を目安に、自社整備が進んだ都市部から段階的に終了していく予定です。
整備の進み方とローミング終了のタイミングがずれることで、一時的に「今まで繋がっていた場所が圏外になった」と感じられる現象が起きているのです。
地下の通信を支える仕組み――LCXとDAS、プラチナバンドの役割

トンネルに張り巡らされた「漏れる電波」の正体
地下鉄のトンネル内には、「漏洩同軸ケーブル(LCX)」という特殊なケーブルが敷かれています。
これは外部に等間隔のスリットを設けたケーブルで、ホースに穴を開けて水を散布するように、ケーブル全体から電波を均一に放射する仕組みです。
曲がりくねった閉鎖的なトンネルでも、死角を最小限に抑えながら通信を確保できる、地下空間ならではのインフラと言えます。
駅構内を支える分散型アンテナシステム
駅のホームや地下街のような開けた空間では、「分散型アンテナシステム(DAS)」が活用されています。
基地局から光ファイバーで信号を伝送し、天井や壁に設置された複数の小型アンテナから電波を放射する仕組みで、比較的安定した通信が得やすいのが特徴です。
ようやく手にしたプラチナバンドが変える状況
楽天モバイルは2023年にプラチナバンド(700MHz帯)の免許割り当てを受け、2024年から商用サービスを開始しました。
割り当てられた帯域幅は3MHzと狭く、大容量通信を単体で担うのは難しいものの、地下や建物の奥まで電波を届きやすくする「面のカバー」としての役割は大きく、駅の入り口付近などの圏外対策に効果を発揮しています。
知っておきたい事実――「つながりやすさ強化宣言2026」の進捗

帯域幅を5MHzから20MHzへ拡張する意味
楽天モバイルは2026年2月に「つながりやすさ強化宣言2026」を発表し、地下鉄の共用設備における帯域幅を、従来の5MHzから20MHzへ拡張する工事を進めています。
帯域幅は通信の通り道の広さを表すもので、5MHzから20MHzへの拡張は処理能力を約4倍に高めることを意味します。
混雑時に発生していた速度低下や接続の不安定さを、構造的に改善する取り組みと言えるでしょう。
首都圏と地方都市で異なる進捗スケジュール
首都圏の地下鉄網は2026年夏をもってほぼ対策が完成する見通しですが、名古屋・大阪・福岡といった地方都市の地下鉄は、2027年ごろまで工事が続く計画になっています。
地域によって進捗に差があるため、自分の生活圏がどの段階にあるかを把握しておくことが大切です。
完了済みの私鉄区間と今後の東京メトロ
首都圏の私鉄の地下区間はすでに対策が完了しており、東京メトロ・都営地下鉄についても2026年7月までに全線での対策完了が見込まれています。
このように、対象エリアごとに進捗の差がはっきり分かれているのが、2026年現在の特徴です。
自分の生活圏の対策状況を路線ごとに整理してみた
「結局、自分がよく使う路線はいつ改善するの?」——これが一番知りたいポイントだと思い、私は記事に出てきた進捗情報を路線・エリアごとに整理し直してみました。
| エリア | 状況 |
|---|---|
| 首都圏の私鉄地下区間 | 対策完了済み |
| 東京メトロ・都営地下鉄 | 2026年7月までに全線完了見込み |
| 名古屋・大阪・福岡の地下鉄 | 2027年ごろまで工事継続 |
私がこうして整理してみると、「今すぐ改善」なのか「もうしばらく待つ」なのかが、住むエリアによってはっきり分かれることがわかります。たとえるなら、帯域幅が5MHzから20MHzに広がるのは、渋滞していた1車線の道路が4車線になるようなものです。私は、まず自分がよく使う駅・路線がこの表のどこに当てはまるかを確認してから、乗り換えを検討するかどうかを判断するのが良いと思います。
暮らしにどう関わる?通勤・キャッシュレス決済への影響

ラッシュ時の「パケ詰まり」は楽天だけの問題ではない
電波のアンテナが立っていても通信が遅い、いわゆる「パケ詰まり」は、データ通信量の増加にともない、他キャリアでも起きている現象です。
楽天モバイルの場合は、帯域拡張工事が完了している路線と未完了の路線が混在する過渡期にあるため、路線ごとの差が体感として現れやすい状況にあります。
QRコード決済が開けない瞬間のリスク
地下の店舗でキャッシュレス決済を使う際、auローミングが終了した直後で自社電波の浸透が十分でない場所では、一時的に通信がもたつくケースが報告されています。
こうした事象は、特定のエリアや時期に集中して起きやすい性質があると考えられます。
地域差を踏まえた付き合い方
通勤・通学で日常的に地下鉄を使う場合は、自分の生活圏における対策の進捗を把握しておくと、過度に不安に感じずに付き合っていけそうです。
今後の見通しと他社との比較から分かること

大手3社とのインフラ蓄積の差
ドコモ・au・ソフトバンクは数十年にわたり、地下鉄や地下街のアンテナインフラをJMCIAと連携しながら整備してきました。
2020年に参入した楽天モバイルは、地上のカバー率を急速に高めてきた一方で、地下や屋内といった工事に時間制約のある領域では、時間的なハンデを抱えているのが実情です。
料金とのバランスをどう考えるか
データ無制限のプランを月額3,000円台で提供できる点は、楽天モバイルの大きな強みです。
その経済的なメリットと、地下鉄での通信品質の過渡的な状況を、どう天秤にかけるかが利用者にとっての判断材料になりそうです。
2027年までのロードマップが示す方向性
2026年から2027年にかけて、首都圏から地方都市へと段階的に対策が広がっていく計画が示されています。
これは「過去の繋がらない楽天」から、投資によって最適化されていく途中段階にあることを示すロードマップだと言えるでしょう。
Q&A

Q. なぜ楽天モバイルは地下鉄で弱いと言われてきたのですか? A. 後発キャリアとしてのインフラ整備の遅れと、主力周波数だった1.7GHz帯が障害物に弱い性質を持っていたことが、主な理由として挙げられます。
Q. LCXとは何のことですか? A. 漏洩同軸ケーブルの略で、トンネル内に張られた特殊なケーブルです。スリットから電波を均一に放射し、閉鎖空間でも通信を届けます。
Q. プラチナバンドを持つとどう変わりますか? A. 障害物を回り込みやすい性質があるため、地下や建物の奥まで電波が届きやすくなり、圏外になりにくくなる効果が期待できます。
Q. auローミングが終了するとどうなりますか? A. 自社の電波整備が十分でない場所では、終了直後に一時的に圏外を感じやすくなる可能性があります。都市部から段階的に進んでいます。
Q. 他社でも同じような通信の混雑は起きていますか? A. はい。データ通信量の増加にともない、ドコモなど他キャリアでも繁華街や地下鉄での速度低下が報告されています。
まとめ
楽天モバイルが地下鉄で弱いと言われてきた背景には、後発キャリアとしてのインフラ整備の遅れ、主力周波数の特性、そしてローミング終了という移行期の事情が重なっていました。
ただ、2026年は「つながりやすさ強化宣言」のもとで帯域幅の拡張やプラチナバンドの展開が進む、大きな転換点にあたります。
首都圏ではすでに対策がほぼ完成に近づき、地方都市も2027年をめどに整備が進む見通しです。
技術的な背景を知っておくと、今の過渡的な状況にも、少し落ち着いた目で向き合えるのではないでしょうか。
