📌 この記事が30秒でわかる!3行まとめ
- 楽天モバイルはEBITDA黒字化を達成し「存続危機」フェーズを脱却。2026年9月のauローミング終了が次の分岐点
- 金融再編(みずほ銀行との提携・楽天銀行傘下集約)で年850億円のコスト削減が確実視されている
- 7年連続最終赤字だが本業利益は1,063億円の黒字。高コスト社債の償還リスクが残存する点に注意
「楽天モバイルが黒字化した」「金融事業を大幅に再編する」——ここ最近、楽天グループに関する大きなニュースが続いています。
一方で、「auのローミングが終わるって聞いたけど大丈夫?」「7年も赤字が続いているのに、本当に復活できるの?」という疑問も当然あると思います。
今回は、楽天グループの通信品質・財務の現状・金融再編の意味まで、暮らし目線で整理していきましょう。

楽天モバイルの通信品質、データで読み解く

公式発表「人口カバー率99.9%」の内実
2026年3月末時点の楽天モバイルのネットワーク状況を整理すると、4G基地局が67,159局、5G基地局が35,108局まで拡大しています。人口カバー率は公式発表で99.9%となっており、数字の上ではNTTドコモ・KDDI・ソフトバンクと同水準に達しています。
大きな転機となったのは、2024年6月に始まったプラチナバンド(700MHz帯)の商用化です。プラチナバンドは電波の波長が長く、建物内や地下へ電波が回り込みやすい特性を持ちます。2026年3月時点でその展開局数は約10,661局となっており、楽天が長年の弱点としてきた屋内・地下での通信改善を本格的に進めています。
第三者調査が示す改善と、残る課題
第三者機関の評価も、楽天モバイルの改善を裏付けています。
Opensignal(国際的なモバイル通信品質調査機関)が2026年に発表したレポートでは、楽天モバイルはアップロード速度(5G・全体の両部門)で他社を抑えて首位を獲得。5Gネットワークへの接続率(5G利用率)でも単独勝者の地位を維持しています。また、MMD研究所の2026年4月調査では、法人向け携帯電話の総合満足度で初の1位を獲得しました。
一方で、課題も残っています。SNSや口コミ情報を分析すると、地下街・地下鉄の一部や、コンクリート構造の厚いビル奥では、他社との差がまだあります。混雑した駅や会場での「パケ詰まり」(アンテナは立っているのに通信が進まない現象)も一部で報告されています。
プラチナバンドのカバー率が他社(いずれも人口カバー率90%超)に追いつくにはもうしばらく時間がかかりそうです。
プラチナバンド展開の現在地と2026年のロードマップ
楽天モバイルが2026年度に計画しているネットワーク設備投資は2,000億円以上です。前年実績の629億円からほぼ3倍以上に拡大する計画で、プラチナバンドの整備加速と既存5G基地局の拡充に充てられます。
都内地下鉄については2026年7月までに全区間のカバーを完了させる予定です。さらに2026年第4四半期には、低軌道衛星を活用した「Rakuten最強衛星サービス」を開始予定。山間部や離島など地上基地局が届かない場所でも直接スマートフォンに電波を届ける、究極の面カバーを目指しています。
楽天モバイルと大手3キャリアの料金を実際に比較してみた
「楽天モバイルは本当に安いのか」を確かめるため、私は主要4社の公式サイトの料金ページを実際に開いて、データ無制限〜30GB程度のプランを横に並べて比較してみました。
| キャリア | プラン目安 | 月額料金 |
|---|---|---|
| 楽天モバイル | データ無制限 | 3,278円 |
| 大手他社メインブランド | 20〜30GB程度 | 7,000〜9,000円台 |
私が計算してみたところ、差額は月4,000〜6,000円。年間に直すと4万8,000円〜7万2,000円もの差になります。もちろん通信品質やエリアの違いを考えると単純に「安い方が得」とは言い切れませんが、私自身この金額を見て、地下や屋内での利用が少ない人にとっては楽天モバイルの価格優位性はかなり大きいと感じました。
2026年9月「auローミング終了」問題の本質

KDDIがローミング延長に消極的な戦略的理由
楽天モバイルは、サービス開始当初から自社基地局が少ない地域での通信をKDDI(au)のネットワークに依存するローミング協定を結んでいました。現在の契約期限は2026年9月30日です。
KDDI松田浩路社長は2026年5月の決算説明会で、「楽天モバイルの自社エリアが全国的に広がっている現状を踏まえ、ローミング提供の当初の役割は終えた」と発言しました。
KDDIにとってのローミング終了の戦略的意味は明確です。ローミングで楽天ユーザーを支える立場から離れることで、楽天モバイルが自力でカバーできないエリアのユーザーが、povo(au系列・基本料0円)やUQ mobileへ流れてくる可能性があるためです。松田社長自身も「楽天のユーザーが困るようであれば、povoなどで支援できないかと思っている」と述べており、ローミング終了が競合間の顧客獲得のトリガーになり得ることを示唆しています。
楽天にとってのメリットとユーザーへのリスク
この問題はコインの表裏です。
楽天側にとってのメリットは、ローミング費用という大きなコスト負担の削減です。これまでKDDIへ支払ってきたデータ接続料は、楽天モバイルの赤字を拡大させてきた主要因のひとつでした。このコストが削減されてユーザーのデータ通信が自社回線に乗ることで、ARPU(ユーザー1人あたりの平均売上)が改善し、収益に直結します。実際、2025年度のモバイル事業EBITDA黒字化(129億円)を牽引した最大の要因の一つが、このローミング費用の適正化です。
一方でユーザーへのリスクは、楽天自社基地局がまだ薄い地域での圏外・通信速度低下です。地方郊外・山間部・古いビルの屋内などがリスクの高いエリアとして想定されます。大規模な解約(チャーン)が生じる懸念も市場では意識されています。
交渉の行方と現実的なシナリオ
現時点での最も現実的なシナリオは、「原則終了・一部過疎地域のみ限定延長」です。全面的な延長は見込みにくく、楽天が自社ネットワークで9割以上をカバーした上で、絶対的な空白地帯のみKDDIとの協力を残す形が想定されます。
2026年10月以降の楽天モバイルの通信品質は、毎四半期の口コミや速度測定データを確認しながら判断するのが賢明です。
楽天グループの財務リアル:7年連続赤字でも「稼ぐ力」は別物

EBITDA黒字化129億円が示すモバイル事業の転換点
楽天グループ全体の財務状況を整理します。
2025年度の連結売上収益は2.5兆円に達し、29期連続で過去最高を更新しました。本業の稼ぐ力を示すNon-GAAP営業利益は1,063億円(前年比+992億円)と大幅な改善です。
しかし当期純損益は1,778億円の赤字で、7年連続の最終赤字となっています。本業が黒字なのになぜ最終赤字かというと、モバイル事業の基地局建設に伴う巨額の減価償却費・過去の投資に対する減損損失・積み上がった有利子負債への支払利息が重くのしかかっているためです。
最も重要なマイルストーンが、楽天モバイル単体のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が2025年通期で129億円の黒字化を達成したことです。これは「スマホ通信事業として現金を稼ぎ始めた」ことを意味します。契約回線数は2026年3月末に1,036万回線を突破し、ARPU(実質単価)は2,467円(2025年第4四半期)まで上昇。解約率も1.46%と低位安定しています。
「年850億円」の金融再編が意味すること
2026年10月1日に実施予定の金融事業再編は、グループの財務構造を根本から変える取り組みです。
スキームは、楽天銀行(単体預金残高13.2兆円)を親会社とし、楽天カード(ショッピング取扱高26.5兆円)と楽天証券HDをその傘下に完全子会社として集約するというものです。さらにみずほ銀行が楽天銀行へ5.8%出資する形で資本業務提携を深化させます。
この再編の核心は「資金の内部循環」です。これまで楽天カードや楽天証券は事業資金を外部の金融機関から比較的高い金利で調達していました。再編後は、低コストの銀行預金を財源とする楽天銀行からの調達に切り替えられます。この金利差分だけで、年間850億円規模の利益改善効果が見込まれています。
コスト削減が「稼ぎ出した分を積み増す」のではなく「支払いを減らす」形で実現するため、非常に確実性の高い利益改善と言えます。
投資家が見るべき残存リスク
楽天株の現状を投資家目線で整理すると、買い材料と売り材料の両方があります。
買い材料としては、1,036万回線突破・EBITDA黒字化という具体的な成果、年850億円のコスト削減効果、コングロマリットディスカウント解消への期待が挙げられます。
売り材料(リスク)は、7年連続最終赤字という事実と、2024年4月に利率9.75%という高コストで発行したドル建て社債を含む、2027年以降の多額の社債償還負担です。グローバルな金利が高止まりすれば、借り換え(リファイナンス)コストが金融再編の削減効果を相殺するリスクがあります。また、ローミング終了後に解約急増が起きた場合、モバイル事業の回復シナリオが崩れます。
信用格付は、R&I「A+(安定的)」、S&P「BB(安定的)」で、市場コンセンサスは「倒産リスクは脱した。今後は四半期ごとの数字の積み上げが問われる段階」となっています。
キャリア選びの整理:楽天モバイルが合う人・合わない人

「コスパ最強」の条件が揃う人
楽天モバイルが合う人の条件を整理すると、以下のパターンに当てはまる人です。
データを大量に使う人(毎月30GB以上)はまず候補に入れてください。他社メインブランドが月7,000〜9,000円台のところ、楽天は無制限で3,278円。価格差は月4,000〜6,000円にも上ります。
楽天市場ヘビーユーザーはさらに有利です。SPUポイント+4倍の恩恵により、月の買い物額によっては通信費をポイントで相殺できる計算になります。
毎月2GBまでの海外ローミングが無料で使えることも、旅行が多い方には大きなメリットです。
他社を選ぶべき状況
一方で、以下の条件に当てはまる場合は他社をおすすめします。
地下での利用が多い人(地下街や地下鉄で決済・連絡をよくする方)は、2026年9月のローミング終了後の実態を確認してから判断するほうが安全です。
音声通話の品質を仕事で重視する方は、Rakuten LinkのRCS経由通話の不安定さを考えると、ドコモ・au・ソフトバンク系(ahamo・UQ mobile・Y!mobile等)のほうが安心感があります。
店頭サポートを重視する初心者の方も、楽天は慣れていないとサポートが受けにくいと感じるケースがあります。UQ mobileやY!mobileは実店舗でのサポートが充実しています。
まとめ:2026年後半の楽天モバイルをどう評価するか

楽天グループの現状を整理すると、「最悪期を脱して構造的な回復フェーズに入った」という評価が最も正確です。
通信品質は着実に改善しており、EBITDA黒字化という事実がそれを裏付けています。金融再編の年850億円コスト削減は、ほぼ確実に実現が見込める利益改善です。
課題は2つ残っています。ひとつは2026年9月のauローミング終了後の通信品質維持。もうひとつは、2027年以降の社債償還時における調達コストの動向です。
楽天モバイルをメイン回線として使うかどうかは、「自分の生活動線のうち、地下や屋内の利用頻度がどれだけあるか」と「楽天経済圏でどれだけポイントを活用できるか」のバランスで判断するのが最も合理的です。2026年10月以降の口コミ・速度測定データが蓄積されてきたタイミングで、あらためて評価を見直してみてください。
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よくある質問
楽天モバイルのEBITDA黒字化とは何を意味するの?
EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の黒字化は、減価償却費などを引く前の段階で現金を稼ぎ始めたことを示します。2025年通期で129億円の黒字を達成し、通信事業として自立できる基盤が整いつつあることを意味します。
auローミング終了後、楽天モバイルのエリアはどう変わる?
地方郊外・山間部での自社回線カバーが不十分な地域では圏外リスクが生じる可能性があります。楽天は2,000億円以上の設備投資と衛星サービスでカバーを広げる計画ですが、終了直後の品質変化は10月以降の実績で確認する必要があります。
楽天グループの金融再編で何が変わるの?
楽天銀行を親会社として楽天カード・楽天証券HDを傘下に集約し、銀行の低コスト預金を事業資金として内部調達できるようになります。これにより年間850億円規模の調達コスト削減(利益改善)が見込まれています。
楽天グループ株は買いどき?
7年連続最終赤字であること、社債の高金利リスク(2024年発行分は利率9.75%)、ローミング終了リスクがあるため一概には言えません。倒産リスクは後退しており、今後は四半期ごとの契約数・ARPU・解約率を確認しながら評価するのが適切です。
楽天モバイルのプラチナバンドは他社と比べてどの程度?
2026年3月時点で約10,661局。ドコモ・au・ソフトバンクの人口カバー率90%超と比べるとまだ差がありますが、2026年度の大型投資で急速に追いつく計画です。
楽天の格付けは?
R&I(国内)が「A+(安定的)」、S&Pグローバルが「BB(安定的)」としています。
楽天モバイルはなぜ解約率が低い?
楽天市場でのSPUポイント(+4倍)など、楽天経済圏との連携による強力な囲い込み効果が働いているためです。2025年第4四半期のMNO解約率は1.46%と低位安定しています。
楽天グループの赤字はいつ終わる?
当期純損益ベースでの黒字転換時期は未確定ですが、Non-GAAP営業利益は2025年度に1,063億円の黒字を達成。モバイルEBITDA黒字化・金融再編コスト削減が積み重なることで、2027〜2028年度の最終黒字転換が視野に入ってきます。
楽天モバイルの1000万回線突破は重要なの?
1,036万回線(2026年3月末)は事業継続と設備投資の回収に必要な規模感に近づいていることを示す指標です。これ以上増えるほどARPU改善と解約率低下が利益に効いてきます。
楽天の衛星サービスはいつ始まる?
2026年第4四半期(2026年10月〜12月)での「Rakuten最強衛星サービス」開始が計画されています。低軌道衛星による直接スマートフォン通信で、山間部や離島でのカバーを目指します。
参考・出典
本記事は、楽天グループおよび楽天モバイルの公式発表、決算説明資料、KDDIのローミング関連情報、通信品質に関する第三者調査、信用格付機関の公開情報、報道機関の記事などをもとに、内容を整理して作成しています。
- 楽天グループ株式会社|2025年度通期および第4四半期決算説明会資料
- 楽天グループ株式会社|2025年度通期および第4四半期決算ハイライト
- 楽天グループ株式会社|フィンテック事業再編に関する補足説明資料
- 楽天グループ株式会社|金融事業再編に関するプレスリリース
- 楽天モバイル株式会社|契約回線数・顧客満足度調査に関する公式発表
- KDDI株式会社|楽天モバイル株式会社サービスへのローミング提供に関する公開情報
- Opensignal|国内モバイル通信品質に関する調査レポート
- MMD研究所|通信4キャリアの法人向け携帯電話に関する調査
- S&P Global Ratings|楽天グループの信用格付に関する情報
- 格付投資情報センター(R&I)|楽天グループの格付情報
- ケータイ Watch、ITmedia Mobile、Business Insider Japanなどの通信・経済関連報道
なお、楽天モバイルの通信品質、エリア、ローミング提供状況、料金プラン、ポイント還元条件などは、今後変更される可能性があります。最新情報は、楽天モバイル公式サイト、KDDI公式情報、各社の発表をご確認ください。
また、本記事では楽天グループの業績や株価に関する内容を扱っていますが、特定の銘柄の購入・売却・保有を推奨するものではありません。投資判断は、必ずご自身の責任で行ってください。
