📝 3行まとめ
- 2027年4月から食品の消費税を1%にする基本方針が閣議決定(法律成立はこれから)
- 店内飲食は10%据え置き見通しで、持ち帰り・宅配との税率差が9%に拡大する
- 1,000円の商品で試算すると差は90円。宅配は配送料等が別にかかる点に注意
2027年4月から、食品の消費税が1%になるかもしれない——このニュース、見出しだけ見ると「やった、安くなる!」で終わってしまいそうですよね。でも私はこの制度を調べていて、「あ、これ、店で食べるか持ち帰るかで話がまったく変わってくるんだ」と気づきました。結局どういうことなのか、一緒に整理していきましょう。
この記事では、同じ料理なのに税率が変わる仕組みを、1,000円くらいの商品を例に、店内飲食・テイクアウト・宅配の3パターンで比べながら見ていきます。
食品減税 外食はなぜ複雑なの?制度のいまの立ち位置

まず最初に、この制度がどの段階にあるのか整理しておきます。政府は8月上旬の臨時閣議で、食品の税率を現行の軽減税率8%から一気に引き下げるという基本方針を固めました。実施が視野に入っているのは2027年4月からの2年間で、これが実現すれば1989年の消費税導入以来、初めての実質的な消費税減税になると言われています。
まだ「閣議決定」の段階であること
ここ、私は最初混同しかけたんですが、「閣議決定」と「法律として成立した」は同じではありません。閣議決定は政府としての方針を固めた段階で、実際に制度として動かすには国会での法案審議・成立という手続きが必要です。2026年8月時点では、あくまで「政府が2027年4月からの実施を目指す方針を固めた」段階だと理解しておくのが正確です。
なぜ「1%」なのか
当初は税率を「0%」にする案も検討されていたそうです。でも小売業界へのヒアリングの結果、税率を0%にするにはレジや会計システムの改修に約1年かかり、2027年4月の開始に間に合わないことが判明したといいます。一方「1%」であれば改修期間を5〜6か月に圧縮できるという実務上の判断があり、1%での決着になったとされています。さらに残る1%分については、2027年6月以降に中低所得者向けの現金給付を行うことで、実質的な負担をさらに軽くする仕組みも検討されているようです。
店内飲食10%・持ち帰り1%|1,000円の商品で比べてみる

さて、ここからが本題です。「同じ料理なのに、店で食べるか持ち帰るかで税率が違う」——これが今回の制度で一番混乱しやすいポイントです。
してみた|1,000円のランチで税額を計算してみた
私、実際にPythonで検算してみました。前提条件は「本体価格1,000円(税抜)のランチメニュー」「店内飲食は税率10%、持ち帰り・宅配は税率1%(2027年4月以降の想定)」です。
- 店内飲食:1,000円 ×(1+0.10)= 1,100円
- テイクアウト(持ち帰り):1,000円 ×(1+0.01)= 1,010円
- 宅配(商品本体のみ):1,000円 ×(1+0.01)= 1,010円
計算してみると、店内飲食とテイクアウトの差は税額だけで90円。これが1回だけなら小さく感じるかもしれませんが、週に2回外食する人なら月換算で約720円、年間だと8,000円を超える差になります(※あくまで税率差のみを単純計算したもので、実際の店舗の価格設定・キャンペーン等は考慮していません)。
宅配だから必ず安いとは限らない理由
ここで一つ、誤解しやすいポイントを整理しておきたいんです。上の試算では宅配もテイクアウトと同じ1,010円になっていますが、これは商品本体の税額だけを比べた場合の話です。実際の宅配では、これに配送料・サービス料・容器代などが別途加算されるケースがほとんどです。
例えば配送料が300円、サービス料が商品代金の10%(100円)かかるとすると、実際の支払額は1,010円+300円+100円で1,410円になり、むしろ店内飲食の1,100円より高くなる可能性すらあります。「税率が1%だから宅配が一番お得」と単純に思い込むのは危険で、配送料やサービス料まで含めたトータルの金額で比較する必要があるんです。私は最初「税率が低いんだから宅配が一番安いはず」と思い込んでいたので、これは調べていて意外でした。
なぜ外食業界は食品減税を警戒しているのか

「消費税が下がるなら、外食のお店にとってもいいことでは?」と思う人もいるかもしれません。でも実際は逆で、外食業界の団体は今回の制度に強い懸念を示しています。
日本フードサービス協会の反対表明
外食チェーンや飲食店が加盟する日本フードサービス協会は、食料品の消費税引き下げ(外食除外)の方針に対して明確に反対を表明しています。同協会の会長は、店内飲食と持ち帰り・宅配の間に生じる価格差が深刻な客離れを招き、「飲食店の経営に重大な影響を及ぼす」と警告しました。協会側は「支援は公平なものであるべき」とし、税率に差を設けるのではなく、消費者にとって分かりやすい同一税率の適用を求めています。
税率差が9%に広がるという構造的な変化
現在の制度では店内飲食(10%)と持ち帰り(8%)の税率差はわずか2%です。それが2027年4月以降は、店内飲食10%・持ち帰り1%の見通しとなり、差が一気に9%まで広がる計算になります。同じ厨房で作られた同じ料理でも、食べる場所によって支払額に約1割の差が生まれるとしたら、「せっかくなら持ち帰ろうかな」と考える人が増えても不思議ではありません。外食業界がこの変化を警戒しているのは、こうした構造的な価格差が来店動機を弱めかねないからなんです。
すかいらーくが宅配専門店を検討する理由とのつながり

この税率差の話とつながる動きとして、業界最大手のファミリーレストランチェーンを傘下に持つ、あるホールディングス企業が「客席を持たない宅配・テイクアウト専用の新しい業態」の検討を明らかにしています。厨房だけを持ち、デリバリーアプリの中に仮想的な店舗として出店するこの業態は「ゴーストレストラン」と呼ばれています。
店内飲食からのシフトを見据えた動き
この企業のトップは決算会見で、地域ごとのデリバリー需要についてマーケット調査を進めていると述べています。まだ検討段階の発表であり、具体的な店舗名やメニュー、開始日、全国展開が確定したわけではありませんが、東京都を皮切りに首都圏・都市部を中心とした複数店舗の展開が視野に入っているようです。
私はこのニュースを読んだとき、「ああ、これは今回の税率差の話とつながっているんだ」と腑に落ちました。店内飲食に10%、持ち帰り・宅配に1%という税率差が生まれるなら、外食チェーン側もお店の売上構成を「店内で食べてもらう」から「持ち帰ってもらう」へ、少しずつシフトさせる経営判断をするのは自然な流れだと感じます。ただし、この動きが「ゴーストレストランが儲かるから」という単純な理由だけではないことにも注意が必要です。デリバリープラットフォームへの手数料負担など、宅配ビジネスにも独自のコスト構造があるからです。
してみた|業績データから経営体力を確認してみた
この企業がなぜ大きな戦略転換に動けるのか気になったので、公表されている決算データを確認してみました。直近の四半期累計では売上高が2,425億円、事業利益が170億円(利益率7.0%)、上半期累計の既存店売上高は前年同期比106.4%という数字が出ています。一方で、ある月の客数は天候要因で前年同月比98.6%に落ち込んだという記録もありました。私はこの数字を見て、「安定した収益基盤があるからこそ、税制変化を見据えた先行投資に踏み切れるんだな」と納得しました。中小規模の飲食店にとっては、同じような先行投資はハードルが高いはずです。
スーパー・コンビニの「中食」との競争も激しくなる

外食業界がもう一つ意識しているのが、スーパーやコンビニの惣菜・弁当、いわゆる「中食」との競争です。
中食と外食、税率の扱いはどう違う?
スーパーやコンビニで売られている惣菜・弁当は、食品として軽減税率(今回の見直しでは1%)の対象になります。一方で外食(店内飲食)は10%のまま据え置かれる見通しです。つまり、スーパーの惣菜売り場は今回の制度変更でさらに価格競争力を持つことになり、外食チェーンにとっては「同じ夕食の選択肢」としてスーパーの惣菜と競う場面が増えていくと考えられます。
私が感じた「食のボーダレス化」
私はこの構造を整理していて、「外食」「中食」「内食(家で作る)」という3つの区分が、これまで以上に生活者の財布の中で直接比較される時代になるんじゃないかと感じました。同じ1,000円で、レストランで食べるか、スーパーの惣菜を買って帰るか、宅配を頼むか——選択肢ごとに税率もコストも違う。だからこそ、それぞれの特徴を知っておくことが、これからの食費の使い方を考えるうえで役立つはずです。
海外にも似た仕組みがある?税率差がもたらす影響
「店内飲食と持ち帰りで税率が違う」という仕組みは、実は日本だけの話ではありません。海外の付加価値税(VAT)にも似た事例があります。
ドイツ・イギリスの税率差事例
ドイツでは歴史的に、テイクアウトなど食料品には7%の軽減税率が、レストランでの店内飲食(サービスを伴う飲食)には19%の標準税率が適用されてきました。コロナ禍の特例で店内飲食も一時7%に引き下げられましたが、特例が終わって19%に戻った際、外食業界から強い反発が起きたと報じられています。イギリスでもスーパーの冷たい食品は0%である一方、レストランでの外食や温かい状態のテイクアウト食品には20%の標準税率がかかり、「温かいかどうか」が税務上の線引きの争点になることもあるようです。
私はこの海外事例を見て、「店内飲食と持ち帰りで税率を分ける制度は、線引きの難しさや業界の反発を伴いやすい」という共通点があると感じました。日本の9%という税率差も、現場のオペレーションや消費者の受け止め方に一定の影響を与える可能性がありそうです。
2段階の制度変更と事業者側の負担
2029年には税率がまた変わる予定
今回の制度は「2027年4月から2年間限定」の措置とされていて、2年後の2029年4月には税率が8%へ戻る見通しになっています。つまりレジや会計システムを2027年に一度改修し、2029年にもう一度改修する必要が出てくる可能性があるということです。事業者にとっては、短期間に2回のシステム対応を迫られる負担が生じます。
仕入税額控除と資金繰りの論点
もう一つ気になったのが「仕入税額控除」の話です。飲食料品を扱う事業者がテイクアウト商品を売るとき、売上にかかる消費税率は1%になる一方で、厨房設備や包装資材、光熱費などの仕入れには10%の消費税がかかります。最終的には確定申告で相殺・還付される仕組みですが、日常の取引では「支払う税金」が「預かる税金」を上回る状態がしばらく続くことになり、還付を受けるまでの資金繰りに一時的な負担がかかる可能性があると指摘されています。私はこの部分を調べていて、「減税=事業者にとっても単純にプラス」ではないんだな、と考えを改めました。
まとめ:食品減税 外食で変わること・変わらないこと
- 食品の税率を1%まで下げる方向性は基本方針として閣議で固まった段階で、国会での法案審議・成立はこれから
- 外食(店内飲食)は10%に据え置かれる見通しで、持ち帰り・宅配との税率差が2%から9%に拡大する
- 1,000円の商品で試算すると店内飲食1,100円・持ち帰り1,010円だが、宅配は配送料等が別にかかるため必ずしも一番安いとは限らない
- 外食業界団体は税率差による客離れを警戒し、公平な税率適用を求めている
- すかいらーくの宅配専門店検討は、この税率差を見据えた動きの一つとして理解できる(全国展開が確定した話ではない)
- スーパー・コンビニの中食との競争も、今後さらに激しくなると見込まれる
制度はまだ検討・審議の段階です。今後の国会での議論や正式な法案の動きは、続報が入り次第また整理しますね。
似たような「税制の仕組みを一から整理する」テーマとしては、ふるさと納税ワンストップ特例の記事でも制度の落とし穴を扱ったので、あわせて読んでみてください。
よくある質問

Q. 食品の消費税はいつから1%になりますか?
8月上旬の臨時閣議で、2年間限定の措置として2027年4月から食品の税率を1%まで下げる方向性が固まりました。ただしこれは方針決定の段階で、法律としての成立や施行決定はこれから行われます。
Q. 外食(店内飲食)の消費税も1%になりますか?
いいえ。現時点の方針では、店内飲食は標準税率の10%に据え置かれる見通しです。
Q. 持ち帰りと宅配は同じ税率ですか?
商品本体の消費税率は同じ1%になる見通しですが、宅配の場合は配送料・サービス料・容器代などが別途かかるため、支払総額は持ち帰りより高くなることがあります。
Q. なぜ税率を0%ではなく1%にしたのですか?
税率を0%にするとレジ・会計システムの改修に約1年かかり、2027年4月の開始に間に合わないためとされています。1%であれば改修期間を5〜6か月に圧縮できるという実務上の判断があったようです。
Q. なぜ外食業界は食品減税に反対しているのですか?
店内飲食と持ち帰り・宅配の税率差が拡大することで、客離れが進み経営に影響が出ることを懸念しているためです。業界団体は公平な税率適用を求めています。
Q. スーパーの惣菜(中食)はどうなりますか?
スーパーやコンビニの惣菜・弁当は食品として軽減後の税率(1%見通し)の対象になるため、外食に対して価格面での競争力がさらに強まると見られています。
Q. すかいらーくの宅配専門店はこの制度と関係がありますか?
すかいらーくが検討している宅配・テイクアウト専門業態は、この税率差を見据えた動きの一つと考えられます。ただし全国展開が確定した話ではなく、現時点は検討段階です。
Q. 1,000円の商品なら実際いくら安くなりますか?
店内飲食が1,100円(税率10%)、持ち帰りが1,010円(税率1%)という試算になり、差額は90円です。これは税率差のみを単純計算したもので、実際の価格設定によって変わります。
Q. この制度はもう国会で法律として成立していますか?
2026年8月時点では閣議決定による基本方針の段階です。法案の国会審議・成立、施行の正式決定はこれから行われる見通しです。
Q. 今後、外食と中食・内食の関係はどう変わりそうですか?
税率差の拡大により、外食・中食(スーパーやコンビニの惣菜)・内食(家で作る食事)が、生活者の中でこれまで以上に直接比較される場面が増えると考えられます。
参考・出典
- 読売新聞「基礎からわかる『消費税』…仕組みや歴史、今回の引き下げ内容など解説」
https://www.yomiuri.co.jp/ - 読売新聞「日本フードサービス協会、食料品の『消費税ゼロ』反対表明…『客離れで飲食店の経営に重大な影響』」
https://www.yomiuri.co.jp/ - 首相官邸「「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」についての会見」
https://www.kantei.go.jp/ - FNN「すかいらーくが消費減税に向け新戦略 テイクアウト商品は1%へ 店内飲食は10%で据え置き」
https://www.fnn.jp/articles/-/959471 - 日本フードサービス協会 会見資料(URL未確認のためサイト名のみ記載)
※本記事の情報は執筆時点(2026年8月)のものであり、制度は今後の国会審議等により変更される可能性があります。税務に関する具体的な判断は専門家にご相談ください。
