📌 この記事が30秒でわかる!3行まとめ
- 2026年10月6日のストップ高(終値2,618円・+23.61%)は、相次ぐ情報漏洩でサイバー防衛株全体に買いが入った影響が中心と考えられます
- 上期は営業利益+30.0%と好調な一方、ARRの積み上がりは会社想定を下回り、下期は売上+約21%の伸びが必要です
- PERは約31倍(筆者計算)。FFRIなど5社との比較と、上昇材料・下落リスクを同じ重さで整理しました
サイバーセキュリティクラウド(4493)が2026年10月6日にストップ高となった主な背景は、相次ぐ不正アクセス・情報漏洩のニュースを受けて、サイバー防衛関連株に資金が一斉に流れ込んだことと考えられます。ただし、事件が起きたことと同社の受注増はイコールではなく、注目すべきは「業績の成長が株価に追いつくか」という点です。この記事では、10月6日の値動き、決算の数字、競合5社との比較、上昇材料と下落リスクを同じ重さで整理していきます。
サイバーセキュリティクラウド株はなぜ上がった?
まず、10月6日に何が起きたのかを数字で確認しましょう。以下はすべて2026年10月6日(15時30分時点)の終値ベースです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 終値 | 2,618円(前日比+500円、+23.61%) |
| 始値/安値 | 2,468円/2,285円 |
| 出来高 | 約1,540万株(前営業日10月5日は約74.5万株) |
| 時価総額 | 約272億円 |
| 2026年の高値 | 2,618円(この日に更新) |
出来高に注目すると、10月5日(745,300株)の約20.7倍です。さらに、同社の発行済株式数(10,390,644株)に対する割合を計算すると、1,540万株÷1,039万株=約148%。つまり、この日は発行済みの株数を上回る売買が成立したことになり、短期の資金が相当集中したことが分かります。
直近1週間・1カ月の値動き
- 10月2日の終値は1,973円、10月5日は2,118円(+7.35%)、10月6日は2,618円(+23.61%)
- 10月2日の終値から10月6日までの上昇率は、2,618円÷1,973円-1=約+32.7%
- 日経の株価データでは、直近1カ月の安値は1,957円。この安値から10月6日終値までは約+33.8%
- 2026年初(1,823円)からは約+43.6%、2026年3月4日の年初来安値(1,448円)からは約+80.8%
つまり、10月6日の1日だけでなく、その前日から上昇が始まっていました。「ストップ高の1日で急に変わった」というより、数営業日で一気に水準が切り上がった形です。
ストップ高の理由はひとつではない
市場で意識されている要因として、報道などから確認できるのは次の3点です。
- サイバーセキュリティ関連株全体への買い:この日は、カウリス、ブロードバンドセキュリティ、ZenmuTechなどがストップ高の気配になり、FFRIセキュリティ、セキュアヴェイル、網屋なども大きく上昇しました。個別の材料というより、テーマ全体に買いが入った形です。
- 情報漏洩・不正アクセスの相次ぐ報道:企業へのサイバー攻撃が相次いで表面化し、防衛関連への関心が高まりました。
- 政策面の節目:サイバー対処能力強化法などの主要部分が2026年10月1日に施行されたばかりで、テーマとして意識しやすいタイミングでした。
一方で、10月6日にサイバーセキュリティクラウド自身が、株価を動かすような新しい業績修正を出したわけではありません(筆者が適時開示を確認した範囲では、この日付での業績予想の修正は確認できませんでした)。この点が、この記事全体を貫く重要なポイントです。
相次ぐ情報漏洩でサイバー防衛株に資金流入
何が起きているのか
一次情報で確認できる代表例が、タイムズカーの不正アクセスです。運営会社の公表によると、2026年9月25日に外部からの不正アクセスを検知し、翌26日までに経路の遮断を完了しています。漏えいが確認されたアカウントは約660万件で、そのうち運転免許証画像などの本人確認書類が含まれるのは約160万件と発表されています。
このほか、焼肉きんぐ、MrMax、infoQ、大和証券、シチズン時計、楽天ドライブなどでも不正アクセスや情報漏洩が相次いで報じられました(各社の詳細は、それぞれの公式発表をご確認ください)。
こうしたニュースが続くと、投資家は「次に守りへの投資が増えるのは誰か」を考えます。その連想で、サイバー防衛関連銘柄が買われる流れは、過去のテーマ株相場でもよく見られるパターンです。
「事件が起きた=同社の業績が増える」とは限らない
ここは冷静に見ておきたいところです。情報漏洩が起きた企業が、すぐに同社のサービスを契約するとは限りません。
- 漏洩した企業が対策を強化するとしても、導入先は大手ベンダーや別の専門会社になる可能性がある
- 同社の主力は、Webアプリケーションを守るWAF(ウェブ・アプリケーション・ファイアウォール)などで、今回の事件の侵入経路と必ずしも一致しない
- 契約から売上計上までには、通常、数カ月かかる
つまり、事件は「関心を集めるきっかけ」にはなっても、「売上が増える証拠」ではありません。この区別が、短期のテーマ買いか、中長期の業績成長かを見分ける出発点になります。
サイバーセキュリティクラウドは何をしている会社?
同社は、WAF(外部の攻撃からWebサイトを守る仕組み)を中心としたサービスを自社で開発し、月額・年額の「サブスクリプション(定額課金)」で提供している会社です。2020年3月に東証マザーズ(現・グロース市場)に上場しています。
主力サービス
- 攻撃遮断くん:WebサイトへのDDoS攻撃や不正アクセスを遮断するクラウド型WAF。国内の同分野で上位のシェアを持つと会社は説明しています
- WafCharm(ワフチャーム):AWSなどのクラウド上のWAFのルールを、AIで自動運用するサービス。従量課金型
- Managed Rules:クラウドWAF向けのルールを提供するサービス
- SIDfm:脆弱性情報の提供サービス
- CloudFastener:クラウドセキュリティの運用を包括的に支援するサービス(2026年6月末のARRは4.27億円)
- 脆弱性診断:2026年12月期第1四半期に、売上高が上場来の過去最高を記録したと会社が説明
- AI MONBAN/AIアプリケーション脆弱性診断:2026年6月と7月に提供を開始したAI向けセキュリティの新領域
ARRとは?
ARR(Annual Recurring Revenue)は、「年間の継続収入」の意味です。サブスク型の会社では、売上高よりも先に成長を映しやすい指標として使われます。同社のARRは、2025年12月末が49.97億円(前年比+22%)、2026年3月末が51.9億円(前年比+16.2%)、2026年6月末が52.7億円です。
業績は株価急騰に追いついている?
2026年12月期 第2四半期(上期)の決算
| 項目 | 2026年上期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 27.71億円 | +14.6% |
| 営業利益 | 6.19億円 | +30.0% |
| 営業利益率 | 約22.3% | 前年同期は約19.7% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 4.47億円 | +43.7% |
営業利益率は、6.19億円÷27.71億円=約22.3%です。売上の伸び(+14.6%)よりも利益の伸び(+30.0%)が大きく、効率は改善しています。
通期予想(2026年12月期・2026年5月時点で公表されたもの)
- 売上高:60億円(前期比+18.0%)
- 営業利益:12億円(+8.8%)
- 純利益:8.65億円(+5.2%)、1株益は84.41円
- 年間配当:6円(前期は5円)
進捗率を計算すると、売上は27.71億円÷60億円=約46.2%、営業利益は6.19億円÷12億円=約51.6%、純利益は4.47億円÷8.65億円=約51.7%です。利益面は半分を超えており、通期予想は保守的な可能性もあります。ただし、これは筆者の計算による見方で、会社が上方修正を示したわけではありません。
気になるのは「成長の鈍化」
良い数字ばかりではありません。ここは上昇材料と同じ重さで見ておきたい点です。
- 売上の伸びが鈍化:第1四半期は+17.5%でしたが、第2四半期だけで見ると約+11.9%です(上期27.71億円-第1四半期13.93億円=13.78億円で、前年の同じ期間と比べた概算)
- 下期のハードルが高い:通期60億円を達成するには、下期の売上が約32.29億円必要です。前期の下期は約26.66億円(通期50.84億円-前年上期の約24.18億円)と概算されるため、必要な伸び率は約+21%。上期の+14.6%より高い水準です
- ARRの積み上がりが想定を下回った:2026年8月27日付の会社のQ&Aで、「一部プロダクトにおいて新規顧客の獲得が想定を下回ったことに加え、上期に解約が一時的に増加した」と説明しています。2025年末から第1四半期末までのARR増加は約1.93億円でしたが、第1四半期末から第2四半期末は約0.8億円にとどまりました
- 背景として会社が挙げた理由:年初に組織を統合した影響で営業活動に時間がかかったこと。会社は「当社側の要因が大きかった」と説明しています
今後の追い風になりうる取り組み
- 料金改定:Managed Rulesは8月から全顧客、WafCharmは10月から旧料金プランの顧客に新価格を適用。売上への寄与は第3四半期以降に段階的に出る見込みと会社は説明しています
- AI領域の新サービス:金融機関からの相談が増え、一部では受注に至っていると会社は説明。ただし「現時点の業績寄与は限定的」とも明記しています
- 自己株式取得:2026年5月22日の決議(上限25万株・4.5億円)に基づき、6月末までに累計202,700株・約3.48億円を取得。6月の平均取得単価は286,203,300円÷166,500株=約1,719円で、10月6日の終値(2,618円)はその約1.5倍の水準です
FFRIなど競合5社と比較
同じ「サイバーセキュリティ関連」でも、事業の中身も株価の位置も違います。10月6日(終値)時点の主な数字を整理します。決算期はそれぞれ異なるため、比較の際はご注意ください。
| 項目 | サイバーセキュリティクラウド | FFRIセキュリティ | セキュアヴェイル | ブロードバンドセキュリティ | 網屋 | カウリス |
|---|---|---|---|---|---|---|
| コード | 4493 | 3692 | 3042 | 4398 | 4258 | 153A |
| 事業の軸 | WAF・クラウドセキュリティ(サブスク) | 国産のエンドポイント防御・サイバー研究 | セキュリティ運用監視(SOC)・ログ管理 | セキュリティ診断・コンサル・監視 | ネットワーク可視化・ログ管理 | 不正ログイン・不正取引の検知 |
| 10/6終値 | 2,618円 | 8,670円 | 414円 | 1,922円 | 6,010円 | 2,113円 |
| 10/6騰落率 | +23.61% | +6.38% | +23.95% | +26.28% | +2.21% | +23.35% |
| 時価総額 | 約272億円 | 約710億円 | 約32億円 | 約89億円 | 約531億円 | 約138億円 |
| PER/PBR(サイト表示) | 約31倍/約5.8倍(筆者計算) | 約60.5倍/約12.7倍 | 約33.0倍/約1.65倍 | 約18.1倍/約2.26倍 | 約57.0倍/約9.28倍 | 約39.0倍/約4.63倍 |
| 直近通期の売上高 | 50.84億円(2025年12月期) | 43.48億円(2026年3月期) | 12.79億円(2026年3月期) | 67.79億円(2026年6月期) | 59.36億円(2025年12月期) | 14.00億円(2025年12月期) |
| 直近通期の営業利益 | 11.0億円 | 13.64億円 | 1.12億円 | 5.11億円 | 10.51億円 | 4.08億円 |
| 売上成長率 | +14.6%(2026年上期) | +1.2%(直近四半期:2026年4〜6月) | +11.4%(2026年3月期) | 約+11%(2026年6月期、筆者計算) | +24.5%(2025年12月期) | 約+22%(2026年上期、筆者計算) |
| 株価位置 | 年初来高値を更新 | 年初来高値10,430円の約83% | 年初来高値を更新 | 年初来高値を更新 | 年初来高値6,350円を日中に記録 | 上場来高値3,930円には未到達 |
数字の出所は、松井証券の株価・決算ページ、各社の開示などです。PERやPBRは配信元によって算出方法が異なるため、傾向を見る目安としてご覧ください。サイバーセキュリティクラウドのPERとPBRは、会社予想の1株益84.41円とQ1末の自己資本から筆者が計算した概算です(PER=2,618円÷84.41円≒31.0倍、PBR=2,618円÷約451円≒5.8倍)。
各社の強みと注意点
- FFRIセキュリティ:国産の技術力と、国の重要技術の育成プログラムに関連する案件が強み。一方、2026年4〜6月は売上が前年比+1.2%にとどまり、営業利益は185百万円と前年同期比で約30%減。採用強化によるコスト増が理由と会社は説明しています。PERが約60倍と高く、期待先行の面があります
- セキュアヴェイル:時価総額が約32億円と小さく、10月6日の出来高は約1,300万株。5日間で約42%、20日間で約38%上昇しており、値動きが激しい水準です。売上は+11.4%、営業利益は112百万円で、事業規模はまだ小さめです
- ブロードバンドセキュリティ:診断・コンサルが中心で、PERは約18倍と今回の比較では低め。2026年6月期は営業利益が約2倍になりました(営業利益の増加額2.54億円から前期の2.57億円を逆算)。ただし、一日で約26%上がっており、割安に見える水準は変わった点に注意が必要です
- 網屋:売上が+24.5%、営業利益が約2倍と成長率が高い反面、PER約57倍・PBR約9倍と株価の期待も大きい銘柄です。10月6日は上昇率が+2.21%と、他社より落ち着いていました
- カウリス:金融機関向けの不正検知に強みがあり、2026年上期は売上+約22%、営業利益+約27%(前年同期との差額から筆者計算)。時価総額は約138億円と小さく、上場来高値3,930円とは距離があります
同社の立ち位置
サイバーセキュリティクラウドは、売上規模が比較対象の中で中位(50.84億円)で、営業利益率も約22%と高めです。PERは約31倍と、FFRIや網屋ほど高くはない一方、ブロードバンドセキュリティよりは高い水準です。ただし、直近の売上成長率(+14.6%)は、網屋やカウリスより低く、「成長率の割に株価水準が高いのか低いのか」は、見る人によって分かれるでしょう。
今後さらに上がる材料
ここからは、株価を支える可能性のある材料を挙げます。
1. 政策面の追い風
2026年10月1日には、サイバー対処能力強化法などの主要部分が施行されました。国家サイバー統括室(内閣官房)の資料によると、基幹インフラ事業者(15分野・258事業者)に、重要な情報システムの届出やインシデント報告が求められる枠組みです。政府と民間の連携強化も進められています。
ただし、この制度の主な対象は電力・通信などの基幹インフラ事業者です。同社の顧客層はWebサービスやクラウドを使う企業が中心のため、「同社に直接どれだけ需要が来るか」は、現時点では確認できていません。
2. 企業のセキュリティ投資の拡大
情報漏洩が続くと、経営者の関心が高まり、予算が動きやすくなります。特に、クラウド利用の拡大や生成AIの普及で、守る対象が増えています。同社もAI向けのサービスを2026年6月と7月に立ち上げており、この流れに乗ろうとしています。
3. 料金改定の効果
WafCharmの旧料金プラン顧客に対する新価格の適用は10月からです。第3四半期以降の売上に少しずつ反映されると会社は説明しています。ARRの伸びが鈍化している中で、この効果が数字に出るかが重要な確認点です。
4. 利益面の進捗
上期の営業利益は通期予想の約51.6%に達しています。下期にコストが大きく増えなければ、予想を上回る可能性もあります(あくまで可能性で、会社からの発表はありません)。
5. 株主還元・財務の余力
自己資本比率は2026年3月末で81.0%と高く、会社は自己株式取得の後も「成長投資やM&Aに対応できる財務余力は確保している」と説明しています。M&Aは中期経営計画(2030年に売上200億円・営業利益40億円)の重要な戦略ですが、現時点で実行に至った案件はないと会社は述べています。
急落する可能性がある材料
上昇材料と同じ重さで、注意したい点も整理します。
1. 急騰後の利益確定売り
10月2日から10月6日までに約32.7%、1日で約23.6%上がり、出来高は発行済株式の約1.5倍に達しました。こうした水準では、短期の資金が利益確定に動きやすくなります。テーマ株は、材料が出尽くすと同じ勢いで下がる例もあります。
2. テーマ先行の可能性
10月6日に、同社自身の業績修正などの個別材料は確認できていません。株価が「セキュリティ関連」というくくりで動いている以上、テーマの人気が落ち着けば、買われた分が戻るリスクがあります。
3. バリュエーション(株価水準)
PERは約31倍、PBRは約5.8倍(いずれも筆者計算の概算)です。一方、会社予想の純利益は前期比+5.2%にとどまっています。成長率の予想に比べて株価水準が高いと見る人もいれば、利益予想は保守的だと見る人もいます。
4. 業績成長が期待に届かない可能性
- ARRの積み上がりが想定を下回ったと、会社自身が認めています
- 下期は売上で約+21%の伸びが必要(筆者の概算)
- 第2四半期の単独の売上成長は約+11.9%まで鈍化
- AI領域は「現時点の業績寄与は限定的」と会社が説明
5. 競合の存在
WAF分野では、クラウド事業者(AWSなど)の標準機能や、海外大手ベンダーとの競争があります。また、今回の比較で挙げた5社とは事業の領域が異なるものの、「サイバー関連」という切り口で資金が分散する面もあります。
6. 事件と受注が直接結びつくとは限らない
先に述べたとおり、情報漏洩が起きても、それが同社の契約増に直結するとは限りません。需要が増えたとしても、競合に流れる可能性もあります。
7. 過去の高値との関係
日経の過去株価データでは、2020年4月に11,262.5円の高値があり、10月6日終値2,618円はその約23%の水準です。ただし、当時と現在では市場環境も業績も異なるため、「高値まで戻る余地がある」「戻れない」のどちらの根拠にもなりません。参考情報として見るにとどめるのがよいでしょう。
10月6日のストップ高は、テーマ買いか、中長期の成長か
ここまでの内容を、中心の問いに照らして整理します。
| 見方 | 根拠 | 反対の見方 |
|---|---|---|
| 短期のテーマ買いの色が濃い | 個別の業績修正はなく、関連株が一斉に上昇。出来高は発行済株式の約1.5倍 | 政策や相次ぐ事件は、短期で終わらない背景もある |
| 中長期の成長テーマでもある | 営業利益+30.0%、営業利益率約22%、ARR約52.7億円の積み上がり、法制度の整備、AIセキュリティの需要 | ARR成長が鈍化し、下期に売上+約21%が必要 |
現時点で言えるのは、「どちらか一方」というより、短期の勢いはテーマ買いが中心で、中長期のカギは決算数字(特にARRと下期の売上)で確認される、ということです。
今から買う場合に確認したいポイント
投資判断はご自身で行う前提で、確認したい点をチェックリストにまとめます。
- 決算でのARRの動き:第3四半期の決算で、ARRの積み上がりが改善するか(第2四半期は約0.8億円の増加)
- 料金改定の効果:WafCharmの10月からの新価格が、売上や解約率にどう影響するか
- 通期予想との距離:売上60億円・営業利益12億円に対する進捗と、予想の修正有無
- 出来高の変化:急騰後に出来高が落ち着くか、それとも高水準が続くか
- 株価の水準:急騰前の2,000円前後の水準や、10月6日の始値(2,468円)・安値(2,285円)付近で買いが入るか。これらはあくまで過去の値動きの目安であり、決算や地合い次第で割り込む可能性もあります
- 自分の保有期間とリスク許容度:短期の値動きで売買するのか、数年単位で持つのか。急騰直後は値幅が大きくなりやすいため、資金の一部ずつ分けて考える人もいます
- 他社との比較:同じテーマでも、PERが約18倍(ブロードバンドセキュリティ)から約60倍(FFRI)まで開きがあります。事業内容の違いも含めて見る必要があります
今後の注目イベント
| 時期 | 確認したいこと |
|---|---|
| 2026年10月〜 | WafCharmの新料金プランの適用開始(10月から旧プラン顧客へ) |
| 2026年11月ごろ | 第3四半期決算。ARR・売上・営業利益と、通期予想の修正の有無(具体的な日付は会社のIRカレンダーでご確認ください) |
| 2026年11月まで | サイバー対処能力強化法の官民連携の本格運用(段階的に施行) |
| 2026年12月31日 | 期末配当の権利確定日(年間配当予想は6円) |
| 2027年2月ごろ | 通期決算と、2027年12月期の業績予想 |
| 2027年4月1日(想定) | 基幹インフラ事業者の資産届出の初回期限(想定) |
よくある質問

Q. サイバーセキュリティクラウド株はなぜストップ高になったのですか?
2026年10月6日は、不正アクセスや情報漏洩のニュースが相次いだことで、サイバーセキュリティ関連株全体に買いが集まり、同社も前日比+23.61%の2,618円で取引を終えました。同社自身の業績修正などの個別の発表は確認できていないため、テーマ全体への買いが中心と考えられます。
Q. 情報漏洩事件と会社の業績は関係しますか?
間接的には関係する可能性がありますが、直結するとは限りません。事件をきっかけに企業の防御への関心が高まれば需要が増える可能性はあるものの、導入先が同社になるとは限りません。実際に契約が増えるか、決算でARRが伸びるかで確認する必要があります。
Q. FFRIセキュリティとどちらが強いですか?
事業の中身が違うため、単純には比べられません。FFRIは国産のエンドポイント防御や国関連の案件が強みで、時価総額は約710億円、PERは約60倍です。サイバーセキュリティクラウドはWAF中心のサブスク型で、時価総額は約272億円、PERは約31倍(筆者計算)です。成長性や株価水準など、どの点を重視するかで見え方が変わります。
Q. 今から買うのは遅いですか?
「遅い」「早い」は断定できません。急騰直後は利益確定売りが出やすい一方、業績が伴えば見直される可能性もあります。決算でのARRの動き、料金改定の効果、通期予想の進捗などを確認しながら、ご自身の投資期間と許容できる損失の範囲で判断するのが大切です。
Q. PERは高いのですか?
10月6日終値2,618円と会社予想の1株益84.41円で計算すると、PERは約31.0倍です。比較した関連銘柄ではブロードバンドセキュリティ(約18倍)より高く、FFRIセキュリティ(約60倍)や網屋(約57倍)より低い水準です。ただし、会社予想の純利益は前期比+5.2%にとどまるため、成長期待をどう見るかで評価が分かれます。
Q. 配当はありますか?
あります。2026年12月期の年間配当予想は6円(前期は5円)で、期末配当のみです。10月6日終値で計算した配当利回りは、6円÷2,618円=約0.23%と低く、主に株価の値上がりに期待される銘柄といえます。
Q. 今後の決算日はいつですか?
第3四半期決算は例年11月ごろに発表されていますが、2026年の具体的な日付は、この記事の執筆時点では確認できていません。会社のIRカレンダーでご確認ください。通期決算は2027年2月ごろの見込みです。
Q. サイバーセキュリティ市場は伸びますか?
AIやクラウドの普及で守る対象が増えていることや、2026年10月1日に施行された法制度の整備などから、中長期で需要が増えると見る人は多いです。ただし、市場全体が伸びても、個別の会社の売上が同じペースで伸びるとは限りません。同社も2026年上期の売上成長は+14.6%で、第2四半期単独では約+11.9%まで鈍化しています。
Q. サイバーセキュリティクラウドの主力サービスは何ですか?
WAF(Webサイトを守る仕組み)の「攻撃遮断くん」と、クラウド向けの「WafCharm」などです。ほかにも、Managed Rules、脆弱性情報のSIDfm、クラウドセキュリティ運用のCloudFastener、脆弱性診断、AI向けのAI MONBANなどがあります。
Q. 自己株式取得は株価にどう影響しますか?
会社が市場から自社株を買うと、需給面で下支えになる可能性があります。同社は2026年5月に上限25万株・4.5億円で決議し、6月末までに累計202,700株(約3.48億円)を取得しました。ただし、取得期間は2026年7月31日までで、現時点で新たな取得枠の発表は確認していません。
Q. 今後どの数字を見ればよいですか?
優先して確認したいのは、ARR(年間の継続収入)の増加ペース、売上高の成長率(下期に約+21%が必要)、営業利益の通期予想との進捗、そして料金改定の効果です。株価は短期的に大きく動くため、決算ごとにこれらの数字が改善しているかを確認すると、テーマ先行かどうかを判断しやすくなります。
まとめ
- 結論:10月6日のストップ高は、相次ぐ情報漏洩を背景にしたサイバー防衛株全体への買いが中心と考えられます。中長期で評価が続くかは、ARRと売上の伸びが改善するかにかかっています
- 上昇材料:営業利益+30.0%・営業利益率約22%、上期の利益進捗が約51.6%、10月からの料金改定、AIセキュリティ領域の拡大、法制度の整備、自己資本比率81.0%の財務余力
- 注意材料:10月2日からの約32.7%の急騰と利益確定売り、PER約31倍と会社予想の純利益+5.2%の差、ARR積み上がりの鈍化、下期に必要な売上+約21%、事件と受注が直結しない点
- 次に確認したいこと:第3四半期決算(11月ごろ・日付はIRカレンダーで確認)、ARRの動き、通期予想の修正有無、期末配当の権利確定(12月31日)
投資判断は、ご自身で行ってください。
参考・出典
- サイバーセキュリティクラウド「2026年12月期 第1四半期決算短信」(2026年5月15日)
https://www2.jpx.co.jp/disc/44930/140120260515537440.pdf - サイバーセキュリティクラウド「2026年12月期 第2四半期決算に関するQ&A掲載のお知らせ」(2026年8月27日)
https://www2.jpx.co.jp/disc/44930/140120260827527198.pdf - サイバーセキュリティクラウド「自己株式の取得状況に関するお知らせ」(2026年7月1日)
https://www2.jpx.co.jp/disc/44930/140120260701586214.pdf - タイムズモビリティ「タイムズカー不正アクセスに関するお知らせ」(2026年9月28日)
https://share.timescar.jp/news/2026/0928/1815.html - 内閣官房 国家サイバー統括室「サイバー対処能力強化法及び同整備法の施行に関する関係省庁会議」(2026年9月30日)
https://www.cyber.go.jp/pdf/press/siryou_20260930.pdf - 内閣官房「サイバー安全保障に関する取組」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/cyber_anzen_hosyo_torikumi/index.html - ログミーファイナンス「サイバーセキュリティクラウド、2Qは増収増益、ARRも成長を継続」
https://finance.logmi.jp/articles/385524 - 松井証券「サイバーセキュリティクラウド(4493)株価情報」(2026年10月6日15時30分時点)
https://finance.matsui.co.jp/stock/4493/index
※本記事は執筆時点(2026年10月7日朝)の情報に基づく一般的な情報提供であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身で行ってください。
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