📌 この記事が30秒でわかる!3行まとめ
- 2026年4月時点の定期預金金利(平均)は0.7%で、日銀のマイナス金利解除前と比べて約10倍の水準になっている
- この変化の背景には、日銀が段階的に進めてきた利上げがあり、市場金利の動向に応じて各金融機関が定期預金金利を見直している
- 企業だけでなく個人の家計でも、普通預金から定期預金へ資産を移す動きが広がっており、家計の定期預金残高は前年比5.1%増加している
「定期預金の金利が上がっている」というニュース、見かけたことはありませんか。
「金利が上がる」と聞くと、なんとなく良いことのような気はするけれど、実際にどう変わったのか、なぜそうなったのかは、意外とよくわからないものですよね。
結論から言うと、金利が上がっている一番の理由は、日銀(日本銀行)が段階的に政策金利を引き上げてきたことにあります。特に2026年6月の会合では政策金利が1%程度まで引き上げられ、これを受けて多くの銀行が預金金利を見直しています。詳しい仕組みは、このあと順番に見ていきます。
今回は、定期預金の金利の変化と、その背景にある仕組みを、暮らし目線でまるっと整理していきます。
ニュースの「裏側」を知っておくと、自分のお金との向き合い方も少し変わってくるかもしれません。

定期預金にお金が集まっているという話

まずは、何が起きているのかを整理していきましょう。
定期預金とはどんな仕組みか
定期預金とは、1年や3年など、預け入れる期間をあらかじめ決めてお金を入れる預金口座のことです。
決めた期間が来るまでは、原則としてお金を引き出すことができません。
その代わりに、いつでも自由に出し入れできる普通預金よりも、高い金利を受け取れる仕組みになっています。
将来の住宅資金や老後資金など、まとまった資産を準備するために使われることが多い口座です。
預入期間と金利の関係
定期預金の金利は、各金融機関が市場の金利動向に応じて設定しています。
日銀によると、2026年4月時点の国内銀行などの定期預金金利は、すべての預入期間を平均すると0.7%になりました。
これは、2024年3月にマイナス金利が解除される前と比べると、約10倍の水準にあたります。
長らく「預けてもほとんど増えない」状態が続いていましたが、ここでようやく状況が変わってきたということになります。
個人と企業、どちらも資産を移している
この動きは、個人だけではなく、企業など法人にも広がっています。
普通預金から定期預金へ資産を移す動きは、個人・法人の両方で見られている状況です。
家計の定期預金残高は、2026年4月時点で160兆3961億円。
前年の同じ月と比べて5.1%増加しており、これは普通預金残高の伸び(0.9%増)と比べても、はっきりと目立つ数字です。
なぜ金利が大きく変わったのか

ここからは、「なぜこの変化が起きているのか」という仕組みの部分を見ていきます。
日銀の段階的な利上げとは
定期預金の金利が大きく変わった背景には、日銀(日本銀行)の政策金利の動きがあります。
日銀は、近年段階的に利上げを進めてきました。
各金融機関は、この市場金利の動向に応じて、自分たちが提供する定期預金の金利を見直しています。
具体的には、日銀は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%程度から1%程度へ引き上げることを決定しました。1%台の政策金利は、1995年以来およそ31年ぶりの水準です。
つまり、日銀の利上げという「大きな流れ」が、私たちの預金の金利という「身近な数字」につながっているということになります。
マイナス金利政策との関係
2024年3月、日銀はそれまで続けていたマイナス金利政策を解除しました。
このタイミングを基準にすると、現在の定期預金金利(平均0.7%)は、その約10倍の水準にあたります。
マイナス金利政策のもとでは、預金の金利は極めて低い状態が続いていました。
その時代と比べると、今は預金を取り巻く環境が大きく変わったことがわかります。
金融機関が金利を決める仕組み
定期預金の金利は、各金融機関が独自に設定するものです。
ただし、その設定の基準になっているのは、市場全体の金利動向です。
市場金利が上がれば、金融機関にとっても「預金として集めたお金を運用する際の収益」が変わってくるため、預金者に提示する金利も見直されやすくなります。
このように、日銀の政策→市場金利→各金融機関の預金金利、という流れで変化が伝わっていく仕組みになっています。
普通預金との違いを整理する

ここで、改めて普通預金と定期預金の違いを整理しておきましょう。
自由に出し入れできる普通預金の特徴
普通預金は、いつでも自由にお金を出し入れできる口座です。
日々の生活費の管理や、急な出費への対応に向いています。
その分、金利は定期預金よりも低く設定されているのが一般的です。
インフレと金利のバランス
ここで注目したいのが、インフレ(物価上昇)との関係です。
普通預金の金利は、物価上昇率を大きく下回っている状況が続いています。
つまり、通帳の数字自体は変わらなくても、そのお金で買えるものの量は、物価上昇によって少しずつ減っている可能性があるということです。
これは、いわゆる「実質的な資産の目減り」と呼ばれる状態です。
お金の置き場所を選ぶ視点
このような状況のなかで、「普通預金に置きっぱなしにしておくこと」自体が、ひとつの選択になっているという見方もできます。
もちろん、急な出費に備えるためのお金を普通預金に置いておくこと自体は、合理的な判断です。
一方で、すぐに使う予定のないお金については、定期預金など、より金利の高い選択肢に置き場所を変えるという考え方も出てきています。
定期預金残高の増加額を実際に計算してみた
「前年同月比5.1%増加」と言われても、私は金額にするとどれくらい増えたのか、実際に計算してみました。
現在の残高160兆3961億円が前年より5.1%増えた結果だとすると、前年の残高はおよそ152.6兆円。差額は約7.8兆円という計算になります。
私はこの金額を出してみて、たった1年でこれだけの資金が普通預金や他の場所から定期預金へと動いたことに驚きました。「金利のある世界」という言葉が、これほど大きなお金の流れとして表れているのだと、私はこの試算を通じて実感しています。
今後の暮らしへの影響

ここからは、今後の暮らしにどう関係してくるのかを考えてみます。
物価上昇が続くとどうなるか
物価上昇が続く状況のなかでは、「お金をどこに置いておくか」という選択が、これまでよりも意味を持つようになります。
定期預金の金利が上がったことは、選択肢のひとつが広がったということでもあります。
ただし、定期預金の金利が上がったからといって、すぐにインフレに完全に対応できるわけではない、という点も理解しておく必要があります。
資産の置き場所を見直すタイミング
企業が普通預金から定期預金へ資産を移す動きを強めているという事実は、ひとつの参考情報になります。
「企業が動いている」ということは、金利環境の変化が、ある程度の規模で意識されているということでもあります。
私たち個人にとっても、これを機に、自分の資産の置き場所を一度確認してみるタイミングと言えるかもしれません。
これから注目すべきポイント

最後に、今後どんなポイントに注目していけばよいかを整理します。
今後の金利動向をどう見ればいいか
定期預金の金利は、今後も市場金利の動向に応じて変わっていく可能性があります。
「平均0.7%」という数字は、あくまで2026年4月時点のものです。
実際に、2026年6月に日銀が政策金利を引き上げた後、大手銀行を含む複数の金融機関が定期預金金利をさらに引き上げる動きを見せています(2026年8月時点)。
今後さらに変化する可能性があることを踏まえて、最新の情報をこまめに確認しておくことが大切です。
預け先選びで意識したいこと
預け先を選ぶ際には、預入期間ごとの金利の違いや、中途解約した場合の条件などを確認しておくと安心です。
また、ネット銀行を中心に、金利を引き上げる動きも見られます。
金利の数字だけでなく、自分にとって使いやすい銀行かどうかという視点も含めて、選択肢を整理してみると良いでしょう。
Q&A

Q. なぜ今、定期預金の金利が上がっているのですか?
A. 日銀が段階的に利上げを進めたことを受けて、各金融機関が市場金利の動向に応じて定期預金の金利を見直し、引き上げる動きが広がっているためです。
Q. 「マイナス金利解除前と比べて約10倍」とは、どういう意味ですか?
A. 2024年3月に日銀のマイナス金利政策が解除される前は、定期預金の金利が極めて低い水準でした。2026年4月時点の平均金利0.7%は、その時期と比べて約10倍の水準にあたるという意味です。
Q. 個人と企業、どちらも定期預金に資産を移しているのですか?
A. はい。企業など法人に加えて、個人の家計でも普通預金から定期預金へ資産を移す動きが見られています。家計の定期預金残高は前年同月比5.1%増加しています。
Q. 普通預金の金利は上がっていないのですか?
A. 普通預金残高の伸び(0.9%増)は、定期預金残高の伸び(5.1%増)と比べると目立っていません。普通預金の金利は、物価上昇率を大きく下回っている状況が続いています。
Q. 今後、定期預金の金利はさらに上がる可能性がありますか?
A. 実際に2026年6月、日銀は政策金利を1%程度へ引き上げており、これを受けて定期預金金利をさらに引き上げる金融機関も出てきています。ただし、今後の金利がどう動くかは市場全体の状況によって変わるため、確実な予測はできません。最新の情報をこまめに確認することをおすすめします。
Q. インフレと預金の金利には、どんな関係がありますか?
A. 物価上昇率が預金の金利を上回ると、通帳の数字は変わらなくても、そのお金で買えるものの量は実質的に減ってしまう可能性があります。これを「実質的な資産の目減り」と呼びます。
Q. 日銀の利上げは、なぜ預金の金利に影響するのですか?
A. 日銀の政策金利が変わると、市場全体の金利環境が変化します。各金融機関は、この市場金利の動向に応じて、自分たちが提供する預金の金利を見直しているためです。
Q. 企業が定期預金に資産を移す動きは、個人にとって何を意味しますか?
A. 企業の動きは、金利環境の変化がある程度の規模で意識されていることを示す参考情報になります。個人にとっても、資産の置き場所を見直すきっかけのひとつになり得ます。
Q. 定期預金は途中で解約できますか?
A. 金融機関によっては、条件付きで中途解約できる場合があります。ただし、その場合は当初の金利よりも低くなることが一般的なため、事前に条件を確認しておくことが大切です。
Q. 預け先を選ぶときに、何を確認すればいいですか?
A. 預入期間ごとの金利の違い、中途解約の条件、ネット銀行か店舗型銀行かといった点を確認しておくと、自分に合った預け先を選びやすくなります。
まとめ
今回は、定期預金の金利が大きく変わった背景について、暮らし目線で整理してみました。
2026年4月時点の定期預金金利(平均)は0.7%で、2024年3月のマイナス金利解除前と比べると約10倍の水準になっています。
この変化の背景には、日銀の段階的な利上げがあります。
そして、企業だけでなく、個人の家計でも、普通預金から定期預金へ資産を移す動きが進んでいます。
ニュースの数字をそのまま眺めるだけでなく、「なぜそうなっているのか」を知っておくと、自分の資産の置き場所を考えるときの判断材料にもなりますね。
今後も金利の動向は変わっていく可能性があるので、暮らしに関わる情報として、引き続き注目していきたいところです。
